拉ぎ(ひしぎ)とは、葦の先端を火とコテでつぶす作業のことをいいます。葦に負担をかけるので、リード制作で最も破損しやすい工程です。
今日はこの拉ぎが細くて厚い葦でうまくできなかったお話です。
昨日のブログにも書きましたが、細いリードはどの管にも使えて便利です。また、厚みがあると調整に時間はかかるものの、個人の口に合った状態に調整しやすいです。
諸説あると思いますが、私は以上のことから細くて厚い葦が一般的に好まれると考え、メルカリで「細くて厚い」と書いておられた出品者さんから購入してみました。
これを拉いでみると非常に頑丈で、30分近く火にかけてもつぶし切れませんでした。ちなみに先生からは1分以内に済ませると教わったので、いい素材であればそれだけ短時間でできるということだと思います。
つぶし切れないと下の写真のような感じになります。
この写真のように両端が完全に閉じていないと、吹いても息が抜けてしまい演奏できません。
この葦は薄く削ってから再度拉ぎをしましたが、圧が両端以外に逃げていたり変形してしまっていて、結局望ましい形につぶせませんでした。
そのまま調整を頑張ると、大体こんな感じになってしまいます。
両端を薄くして閉じやすくしようとするので、どうしてもこうなってしまいます・・・。
この状態では息が抜けて吹くのが大変ですし、開きすぎていて音が低くしか出ません。
厚い葦は今までも拉ぎに時間がかかったり、そのために割れてしまうことがあったのですが、これに「細さ」が加わりより難しくなったように思います。もう細くて厚い葦は選ばないつもりです。大変でしたがいい経験になりました。
商品でも厚いリードは見た目がきれいでも両端がつぶしきれていないものがあります。購入したリードがそのような状態になっていたら、音が出ないのは奏者の技術ではなくリードが原因だと覚えておくといいと思います。