前回は篳篥が音程を取るのが難しく、吹き方によって音程が変わりやすいことを書きました。
今回はそのような特徴を活かした奏法である「塩梅(えんばい)」について投稿します。
この奏法の呼び方は「えんばい」ですが、現在使われている「塩梅(あんばい)」の語源だとされています。
塩梅の例として平調音取(ひょうじょうねとり)という、チューニングのための小曲を録音したので載せておきます。
この音源で音がゆっくり下がって上がる部分3か所が塩梅です。
2か所目で篳篥の最低音に塩梅をかけてさらに低く吹いています。リードがよほど良い状態でないと、ここの低音から最高音までを出すのは結構難しいと私は感じています。
塩梅の吹き方についてもう少し細かく言うと、音が下がるときはゆっくり、上がるときは速めにするよう教わっています。
同じ指使いのまま塩梅をかけるのは比較的簡単なのですが、音が上がるときに指が変わる塩梅は速さまで意識すると難しいです。音が上がっている途中で指を変える感じになるため音がブレやすく、スムーズに音を繋げることに神経を使います。
「いい塩梅(あんばい)」などという言葉が今も使われているのは、それだけ奏者が長年に渡り塩梅の練習に励んできたからではないかと思います。